関節リウマチ・膠原病
膠原病は複数の疾患の総称で、いずれの疾患も原因不明の慢性疾患ですが、働き盛りの年代の女性に多く発症するという特徴があります。
関節リウマチは、広い意味では膠原病というグループの中のひとつに分類されます。
関節リウマチは膠原病の中でも圧倒的に患者数が多く、複数の関節の痛みや腫れが持続するだけではなく、進行すると関節が変形して日常生活に大きな支障をきたします。高度の関節変形をきたした際には入院手術が必要になることもあります。
症状が強くて、まともに動けないほど辛い場合なども入院治療が必要となります。
当クリニックでは膠原病全般を扱っております。朝、手がこわばって動かしづらい。関節が腫れて痛みがある。発熱が続いたりだるさが付きまとう。顔や手足に原因不明の発疹が出てなかなか消えないなどの辛い症状は、他の人にはなかなか理解されないことが多く悩まれている患者さまも多くいらっしゃいます。
適切な治療を施せば、多くの場合で症状の緩和が可能となり、臓器障害など病状の進行も防げますが、そのためには早期発見・早期治療が大切です。
気になる症状がある方は、お気軽に当クリニックまでお越しください。
当クリニックで診療対象となる膠原病の疾患名
- 関節リウマチ
- リウマチ性
多発筋痛症 - シェーグレン
症候群 - 全身性強皮症
- 全身性
エリテマトーデス - 多発性筋炎・
皮膚筋炎 - RS3PE症候群
- 脊椎関節炎
- 線維筋痛症
- 成人スチル病
- 悪性関節
リウマチ - 血管炎症候群
- ベーチェット病
- IgG4関連疾患
- 再発性
多発軟骨炎
※ここに記載している疾患は一例でございます。
このような方は要注意
- 朝起きると手指が1時間以上こわばったり痛みがある。
- 運動するとこわばりが改善する。
- 複数の関節が腫れて痛みがある。関節を押さえると痛みがある。
- 6週間以上関節の腫れや痛みが続いている。
- のどの乾き、目の乾きが続いている。
- 疲れやすく、発熱が続いている。
- 原因不明のアザや発疹が頻繁に出現する。
- 手全体が腫れぼったい。
- 昔と比べて手指や腕の皮膚が硬くなり、つっぱる感じがする。
- 腕や太ももの原因不明の筋肉痛が数週間以上続いている。
- 寒冷刺激にて手指の色が紫や白に変化し、時間が経つと元に戻る。
- 電車やバスの手すりを長時間掴んでいるのが辛くなってきた。
- ある日突然、体全体の痛みとこわばりが出現して続いている。
上記に当てはまる方、気になられた方は早めに診察を受けることをおすすめします。
膠原病は症状の出方に大きな個人差がありますが、関節リウマチに関しては初期段階では手に症状が現れることが多いです。
関節リウマチ・膠原病の検査方法
関節リウマチ・膠原病の診断には、詳細な問診・診察・血液検査が最も重要で、その他必要に応じて尿検査やX線検査も行います。
検査結果は約1週間で出ますが、その結果も踏まえて総合的に診断を行い、症状の強さや病気の進行具合に応じて適切な治療を行います。
一部の癌など、関節リウマチや膠原病と似たような症状をきたす病気もあるため、その見極めには常に細心の注意を払っております。
関節リウマチの治療方法
現在の関節リウマチの治療方法は、薬物療法を中心として、リハビリテーションにより関節の機能維持を行ったり、手術によって関節の機能を回復させる方法など、組み合わせて治療を行います。
治療薬については、2000年を過ぎた頃より新たなものがいくつも開発されており、昔と違って痛みや腫れを和らげるだけではなく、薬により関節の破壊・変形を食い止めることができる時代になりました。それぞれの治療の長所を活かしながら、患者さまの日常生活を維持、改善させることを目標とします。
薬物療法
関節リウマチの治療は薬物治療が基本となります。過剰な免疫反応を抑えて関節の破壊を食い止めるもの、炎症(痛みや腫れ)を抑えて症状を和らげるものなど、患者さまの症状にあわせて薬を処方します。
前者は『抗リウマチ薬』と呼ばれ、治療の中心となる薬剤です。その種類は複数ございますが、内服薬による治療が基本になります。症状の強い方や病気の進行速度が速いと予測される方には、より強力な注射薬(生物学的製剤)による治療を提案することもあります。
後者は『消炎鎮痛薬』と呼ばれ、ステロイド薬・非ステロイド性消炎鎮痛薬などがあります。これらはあくまでも補助的な治療薬で、必ずしも必要ではない患者さまもいらっしゃいます。
抗リウマチ薬は効果発現までに1ヶ月以上かかるのが一般的なので、その効果が出てくるまでの火消し的な役割を消炎鎮痛薬が担っております。
手術療法
進行の度合いによっては手術を行うこともあります。手術の種類も様々ですが、痛みや腫れを和らげるための手術(滑膜切除術)。関節の機能を回復させて、日常生活の動作改善や、生活の質の向上を目指す手術(関節形成術・人工関節置換術)があります。
手術が必要と判断した場合は、信頼できる整形外科の病院をご紹介いたします。
例え痛みがなくても、手や足の関節の変形が気になるといった『見た目』の問題が気になる場合でも十分に手術する理由になりますので、関節の変形が気になる患者さまは遠慮なくご相談ください。
生活指導
喫煙やストレスは、症状を悪化させたり抗リウマチ薬の効果を弱めてしまうことが知られております。当院で治療をご希望の患者様で現在喫煙中の方は、是非とも禁煙していただきたいと強く願っております。
膠原病の治療方法
膠原病は免疫反応の異常によって引き起こされる原因不明の慢性疾患の総称で、なぜか30代や40代といった働き盛りの女性に発症しやすいといった特徴があります。
その本質は、本来体外から侵入してくる異物(抗原)を排除するための役割を持つ『免疫』と呼ばれるシステムがなぜか狂ってしまい、自身の正常な細胞や組織に対して過剰に反応・攻撃を加えてしまい、自分で自分を傷付けてしまうことにあります。
言うなれば、膠原病は『免疫システムが秩序を失って暴走した状態』であり、『自己免疫疾患』という言い方をされることもあります。
治療は薬物療法が基本となり、異常な免疫反応を抑えるためにステロイド薬や免疫抑制薬を投与します。
内服薬のみで病状を抑え切れない場合や、治療に用いるステロイドの投与量が多い場合には、入院管理下で点滴治療や人工透析のような治療などの特殊な治療が必要になることがあります。その場合には速やかに適切な医療機関をご紹介させていただきます。
また、一言で膠原病と言っても患者さま一人ひとりで病状が大きく異なるため、元気そうに見えても、ご自身は大変辛いこともあります。ご家族など身近な方の理解と協力が不可欠な病気でもあります。
現在の医学では、いわゆる『根治』は困難な疾患群であり、発症した場合には長くお付き合いする必要がございます。当然その治療も長期にわたり、生涯継続治療が必要な場合もあります。
当クリニックでは病気と共存しながらできる限り普段通りの生活を送ることを目標としています。治療開始前には、資料を用いて可能な限り時間をかけて丁寧に病気の説明をさせていただきます。
薬物療法
異常な免疫反応と炎症反応を抑えるための治療薬で病気をコントロールします。
前述の通りステロイド薬や免疫抑制薬による投薬治療が基本ですが、間質性肺炎などの重篤な臓器障害を認める場合や病気の勢いが強い場合には入院治療が必要となります。
治療には副作用が比較的問題になりやすい薬剤を使用するため、副作用対策のための定期検査や予防薬の処方を適切に行います。
なお、全ての膠原病、全ての患者さまで投薬治療を必ず行うわけではありません。 未治療もしくは対症療法にて慎重に経過観察を行っている内に、自然経過で症状が緩和する場合もあります。
生活改善
十分な睡眠。バランスの取れた食事。食後の歯の手入れなど、規則正しい生活を心がけるようにします。
病気の種類にもよりますが、病状の悪化に繋がる紫外線や寒冷刺激を避けることが必要な場合もあります。
患者さまそれぞれに合った生活改善を提案させていただきます。
他科との
連携
膠原病は複数の臓器に障害をきたす可能性のある疾患群のため、他科との連携が欠かせません。
中でも肺・皮膚・眼は障害を受ける頻度が比較的高く、治療薬の副作用でも皮膚や眼のトラブルは起こりうるため、呼吸器内科・皮膚科・眼科との連携は特に重要視しております。
当院のみで対応困難な場合には、信頼できる医療機関と診療科をご紹介させていただきます。